実務対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」の公表について

 2018年1月12日、企業会計基準委員(ASBJ)から、実務対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」が公表されました。
 本実務対応報告は、企業が従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を発行する場合における会計処理及び開示を明らかにすることを目的としています。
 企業がその従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引は、 企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」の公表時において想定されていなかったことから、ストック・オプション会計基準の適用範囲に含まれるのか否かかが必ずしも明確ではありませんでした。 本実務対応報告では、権利確定条件付き有償新株予約権の会計処理が次のとおり明確化されました。
1. 企業がその従業員等に対し、権利確定条件が付された新株予約権を付与する際、従業員等が一定の額の金銭を企業に払い込む取引が対象となる。
2. 権利確定条件として、業績条件が付されているものが対象となる。
3. 本実務対応の対象となる権利確定条件付き有償新株予約権は、ストック・オプション会計基準の対象となる。
4. 権利確定条件付き有償新株予約権の付与に伴って従業員等から受け取る金額を、純資産の部に新株予約権として計上する。
5. 各会計期間における費用計上額として、権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価額から払込金額を差し引いた金額のうち、対象勤務期間を基礎とする方法に基づき、当期に発生した認められる額を費用計上する。
6. 公正な評価額は、公正な評価単価に権利確定条件付き有償新株予約権数を乗じて算定する
7. 公正な評価単価は付与日において算定し、条件変更の場合を除き、その後は見直さない。公正な評価単価の算定は、株式オプションの合理的な価額の見積りに広く受け入れられている算定技法により行う。失効の見込みはストック・オプション数に反映させるため、公正な評価単価の算定上は考慮しない。
8. 権利確定条件付き有償新株予約権数は、付与日において、付与された権利確定条件付き有償新株予約権数から、権利不確定による失効の見積数を控除して計算する。
9. 権利不確定による失効の見積数に 重要な変動が生じた場合、これに応じて権利確定条件付き有償新株予約権数を見直す。権利確定条件付き有償新株予約権数を見直した場合、見直し後の権利確定条件付き有償新株予約権数に基づく公正な評価額から払込金額を差し引いた金額のうち、その期までに発生したと認められる金額と、これまでに費用計上した金額との差額を見直した期の損益として計上する。
10. 権利確定日には、権利確定条件付き有償新株予約権数を実際に権利の確定した数に修正する。権利確定条件付き有償新株予約権数を修正した場合、修正後の権利確定条件付き有償新株予約権数に基づく公正な評価額から付与に伴う払込金額を差し引いた金額のうち、その期までに発生したと認められる金額と、これまでに費用計上した金額との差額を権利確定日の属する期の損益として計上する。
11. 付与に伴う払込金額のうち、権利不確定による失効に対応する部分は利益として計上する。

本実務対応報告は、2018年4月1日以降適用する。

企業会計基準委員会ウェブサイト
https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/practical_solution/y2018/2018-0112.html

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