企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」、企業会計基準第23号「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正」、改正企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」、改正企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」及び改正企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」の公表

今般、企業会計基準委員会より、標記の企業会計基準及びその適用指針が公表されました。

日本の連結財務諸表の基本的な考え方は、いわゆる親会社説によるものでありましたが、国際財務報告基準は経済的単一体説によっており、今回の改正はその差異解消に向けて大きく舵を切ったものと言えます。

本会計基準等の概要

  • 持分プーリング法の廃止(企業結合会計基準第17 項)
    企業結合の会計処理としては、従来、その企業結合の経済的実態に応じ持分プーリング法とパーチェス法とが使い分けられていましたが、本会計基準等では、会計基準のコンバージェンスを推進する観点から持分プーリング法を廃止することとされ、共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合はパーチェス法により処理するものとされました。また、持分プーリング法を廃止した場合には、現行の会計基準が定める持分の結合に該当するような企業結合であっても、共同支配企業の形成に該当する場合を除き、いずれかの結合当事企業を取得企業として決定しなければならず、実務上いずれの企業が取得企業かを決定することが困難なケースへの対応を図る必要があることから、取得企業の決定方法についても併せて改正されています。
  • 株式を取得の対価とする場合の当該対価の時価の測定日(企業結合会計基準第24 項、事業分離等会計基準第13 項及び第34 項、適用指針第38 項)
    従来、市場価格のある取得企業等の株式が取得の対価として交付される場合における取得の対価となる財の時価は、原則として、その企業結合の主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間における株価を基礎にして算定するものとされていましたが、本会計基準等では国際的な会計基準と同様に、企業結合日(又は事業分離日)における時価を基礎として算定することとされました。
  • 負ののれんの会計処理(企業結合会計基準第33 項、連結会計基準第24 項、持分法会計基準第12 項、適用指針第78 項)
    従来、負ののれんが発生した場合には20 年以内の取得の実態に基づいた適切な期間で規則的に償却するものとされていましたが、本会計基準等では、負ののれんが生じると見込まれる場合には、まず、すべての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直すこととし、それでもなお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回り、負ののれんが生じる場合には、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理することとされました。
  • 少数株主持分の測定(連結会計基準第20 項)
    従来、連結財務諸表の作成にあたり子会社の資産及び負債を評価する方法として、親会社の持分に相当する部分については株式の取得日ごとの時価により評価し、少数株主持分に相当する部分については子会社の個別貸借対照表上の金額による方法(部分時価評価法)と、子会社の資産及び負債のすべてを支配獲得日の時価により評価する方法(全面時価評価法)のいずれかによるものとされていましたが、本会計基準等では、全面時価評価法により評価しなければならないこととされました。
  • 段階取得における会計処理(企業結合会計基準第25 項、連結会計基準第23 項(1)、事業分離等会計基準第18 項及び第24 項、適用指針第46 項、第46-2 項、第85 項(1)、第99 項、第104 項、第110 項、第116 項(1)、第118-4 項、第119 項(1)、第123-3 項、第124 項(2)①、第281-2 項及び第293-2 項)
    取得が複数の取引により達成された場合(段階取得)における被取得企業の取得原価は、従来、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額によるものとされていました。しかし、本会計基準等では、被取得企業の取得原価は、個別財務諸表では従来どおり支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって算定しますが、連結財務諸表では支配を獲得するに至った個々の取引すべての企業結合日における時価をもって算定することとしました。この結果、連結財務諸表における被取得企業の取得原価と、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額(持分法適用関連会社と企業結合した場合には、持分法による評価額)との差額は、連結財務諸表上、当期の段階取得に係る損益として処理することになります。
  • 在外子会社株式の取得等により生じたのれんの会計処理(適用指針第77-2 項)
    在外子会社株式の取得等により生じたのれんは、従来、発生時の為替相場で換算することとされていましたが、本会計基準等では、当該在外子会社等の財務諸表項目が外国通貨で表示されている場合には当該外国通貨で把握し、決算日の為替相場により換算することとされました。
  • 企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果の会計処理等(企業結合会計基準第28 項及び第29 項、研究開発費会計基準の一部改正第2 項、適用指針第58 項、第59 項及び第59-2 項)
    企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果について、従来、取得対価の一部を研究開発費等に配分した場合には当該金額を配分時に費用処理することとされていましたが、本会計基準等では、当該会計処理を廃止することとされました。また、従来、被取得企業から受け入れた資産に識別可能な無形資産が含まれる場合には、取得原価を当該無形資産等に配分することができるとされていましたが、本会計基準等では、当該無形資産が識別可能なものであれば、原則として識別して資産計上を求めることとされました。
  • 適用時期(企業結合会計基準第57 項、連結会計基準第44 項、研究開発費会計基準の一部改正第3 項、事業分離等会計基準第57-2 項、持分法会計基準第18-2 項、適用指針第331-3 項)
    企業結合会計基準、研究開発費会計基準の一部改正、事業分離等会計基準及び適用指針は、平成22 年4 月1 日以後実施される企業結合及び事業分離等から適用されます。ただし、平成21 年4 月1 日以後開始する事業年度において最初に実施される企業結合及び事業分離等から適用することができます。連結会計基準は、平成22 年4 月1 日以後実施される企業結合及び事業分離等に関する会計処理及び注記事項から適用され、その他連結財務諸表に係る事項については、平成22 年4月1 日以後開始する連結会計年度の期首から適用されます。ただし、平成21 年4 月1 日以後開始する連結会計年度において最初に実施される企業結合及び事業分離等に関する会計処理及び注記事項から適用し、その他連結財務諸表に係る事項については、平成21 年4 月1 日以後開始する連結会計年度の期首から適用することができます。持分法会計基準は、平成22 年4 月1 日以後実施される非連結子会社及び関連会社に対する投資に係る会計処理から適用されます。ただし、平成21 年4 月1 日以後開始する連結会計年度において最初に実施される非連結子会社及び関連会社に対する投資に係る会計処理から適用することができます。
    なお、本会計基準等を早期適用する場合には、本会計基準等のすべてについて一斉に行うものとされています。

企業会計基準委員会http://www.asb.or.jp/html/documents/docs/ketsugou/

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